熟年離婚と介護の問題

長年連れ添ってきた配偶者が、認知症になるというケースも増えてきました。熟年離婚の要因にはさまざまなものがありますが、そのひとつに、介護疲れによるものもあります。ここでは離婚弁護士が実際に担当した案件(配偶者が認知症になった場合)の離婚問題について解説しています。

配偶者の介護と第二の人生

長年寄り添ってきた夫婦にも、65歳を過ぎると介護問題が持ち上がります。特に、認知症のケースでは、互いに思うところが出てくるものです。夫が認知症となった場合、妻は最初は自宅で面倒をみようとしますが、その後特養やグループホームにお願いするケースがほとんどになります。たとえ、施設に預けたとしても、自分のことを認知してもらえないとなると、長年の介護に疲れ、愛情も冷めてしまうということもあります。妻側が年下の場合、離婚して第二の人生を歩み、ほかの男性と再婚したいというケースも、熟年離婚では多い問題です。しかし、このケースの場合、離婚し再婚できるかの判断はかなり微妙なものになります。配偶者を見捨てることに対する批判と、第二の人生を切り開く自由を量りにかけることになるからです。

離婚請求が認められたケース

実際に長年、認知症の妻の介護を続けてきた夫が、妻に対して離婚請求をした裁判で認められた判例というものがあります。離婚請求をするまでに夫は妻の介護を5年以上続けており、民生委員の計らいによりその後特養に預け、妻を見舞うという行動を続けてきたのです。最初は失禁からはじまった症状も、夫が誰だかわからないというところにまで至り、自分で食べることもベッドの上で起き上がることもできないほど認知症は進行し、重度の認知症で回復の見込みがないと判断されたのです。このケースでは夫婦の婚姻関係は、長期間にわたって夫婦間の協力義務が果たせていないと判断されました。そのため、婚姻関係の破綻、つまり継続しがたい重大な理由があるという法律上の離婚理由と離婚弁護士の請求が認められ、夫の離婚が認められたのです。

離婚できるポイントは

認められたケースでは、離婚請求した側の夫が、離婚後も若干の経済的援助と面会を申し出ています。また、妻が入所している特養が離婚後は全額公費負担となることも考慮された上での結果ともいえます。また、判例においては、夫は妻よりも10歳以上年下で、まだ40代であった点も考慮されているのです。つまり、配偶者の介護責務と第二の人生を送る自由を量りにかけたとき、判例のケースでは子どもがいませんでしたので、認知症の程度が重度かどうか、また、回復の見込みがあるかどうかがひとつのポイントとなります。加えて、認知症である者の今後の生活の見通しがあるかどうか、離婚請求した側にとって、本当に離婚をする必要性が高いかどうかというのが焦点となります。こうした専門的な知識では、素人に到底太刀打ちできません。離婚弁護士に相談して、離婚請求を認めてもらいましょう。

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